世界一過酷と言われる単独無寄港世界一周ヨットレース、ヴァンデグローブの先頭艇がフィニッシュしました。優勝艇マシフのスキッパー、フランソワ・ガバーは29歳の若者です。

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フランス西岸のレ・サブレ・ドローヌをスタート後、大西洋を南下して喜望峰を回り、インド洋、太平洋、南氷洋を経てケープホーンを越え、再び大西洋を北上して同じ町に戻ってくる。たった一人で60フィートの巨大なフネを駆り、誰の助けも借りず、どこの港にも寄らずに地球を一周してくる。そんなシンプルで、荒唐無稽なヨットレースです。

8回目の今回は、歴史に残る名勝負でした。オーストラリア南方のあたりからマシフとバンクポピュレールの2艇が集団を抜け出し、その後ひたすら抜きつ抜かれつのマッチレース。常に2艇の差は2-3マイルという僅差の戦いで、世界中のフリークを魅了しました。優勝したマシフの記録は78日2時間16分44秒。25,000マイル以上走って78日ということは、平均およそ15ノット。これは途方もない大記録です。しかも2位でフィニッシュしたバンクポピュレールとの差は、たったの3時間17分12秒!マジありえなーい。

この手の冒険レースは、伝統的にフランス人の独壇場です。っていうか頭いかれてますよ。単独無寄港で世界一周ってことは、走りながら寝るんですよ?20ノットオーバーで走りながらオートパイロットに任せて寝られますか?寝られませんよね。30分くらいの睡眠を小刻みにとりながら78日の一人旅。気が狂うって普通。どんな神経してるんだ?すごすぎるわ。

トップ2艇の戦いばかりに注目が集まっていましたが、クライマックスでドラマがありました。3位を走っていたヴィアバック・パプレックが大西洋上でキールを失う大トラブル。なんとか転覆は免れて自走していますが、大減速を余儀なくされました。そこで4位を走るヒューゴ・ボスのアレックス・トムソンは迷う事なくコースを変えて彼の近くに寄り、前線通過するまで減速して並走したのです。

素晴らしい。これぞシーマンシップ。こんな壮大な冒険レースで覇を競う彼らを心から尊敬します。オリンピックやアメリカスカップもいいけど、こういうエピソードこそ子供たちに聞かせてあげたいなと思います。

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