古い映像で恐縮ですが、いまから8年前、2004年のプリンセスソフィア杯です。アテネ五輪の金メダル最有力候補だったウィルモット/ペイジ組がポートアプローチからタックして上マークを回航していくのですが、このマークラウンディングが地味だけどホントにスゴイ。ギリギリまでフラットをキープして、タックする回頭の速さ、体重移動の大きさ、メインセールの出す量、すべてがパーフェクトです。一瞬でタック前のスピードに回復し、しかもバングもきちんと抜けています。ジブが全くシバーしていないので、あまり吹いてないように見えますが、実際は15ノット以上吹いているんです。

僕と石橋も相当練習していたので、基本動作はかなりイケてる方でした。でもウィルモットたちは別格です。まぐれでも勝てなかった。このタック一つ見るだけで、彼らがどれだけボートハンドリングに長けているかが分かるはずです。フネとの一体感がハンパない。これが世界王者のタックです。

特に学生の470セーラーは、このタックを穴があくほど良く見て下さい。派手なアクションはないけど、ムダもない。みなさんのタックみたいにタック前後のオーバーヒールなんかありません。この1回のタックだけで、みなさんのマーク回航より3艇身ぐらい前に行くはずです。いや、もっとか。

タックって基本中の基本だけど、とても奥が深くて、乗り手の実力が良く表れます。OPや高校生、大学生のコーチングに招かれたとき、タックを1回見れば、だいたいどれくらいの選手かが分かります。良く乗り込んだ選手のタックはムダがなく、美しい。

ヨットに乗る時間がどうしても少なくなる冬の間に、こういう動画をたくさん見て、イメージトレーニングに励みましょう。今後も手持ちの動画をアップしていきます。

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