葉山で念願のモスワールドチャンプになったポール・グディソン。彼のレーザーキャンペーンからの軌跡をアルテミスレーシングの動画が紹介しています。
昨年のモスワールドの成績を見ると、なんと彼は32位。僕よりも下じゃないですか。それが一年でチャンピオンになれるって勇気が湧きますね。もちろん彼の才能と努力によるところでしょうが、それにしても32位から優勝はスゴイ。
その一つの大きな要因は艇を換えたことでしょう。今回のワールドではイギリス勢のスピードが他を圧倒し、表彰台を独占しました。彼らが乗っているのは同国製のEXOCET。2009年以来続いていたMach2のワールド連覇は遂に途絶えました。Mach2のディーラーとして受けた衝撃は小さくありません。
恐らく最も大きな違いはフォイルだと思います。彼らのフォイルはスパンに対してコードが非常に短い。いわゆるハイアスペクトな形状をしています。しかも薄い。よくあれで壊れないなと感心するほど。そしてリグ。マストもセールも僕らとはすべて違うセットとセッティングです。
イギリス勢はこの数年、ずっとMach2をターゲットに開発を続けてきました。追うものの強さというか、思い切ったアイディアを採用してアグレッシブに攻め続けたことが功を奏したんだと思います。そこは誰もが認めるところです。
ただこれでMach2からEXOCETへ一気に時代が移るかというと、そう簡単には行きません。EXOCETは生産能力が非常に限られていて、年間10艇から15艇というところ。いま新艇をオーダーしても受け取れるのは3年から4年後だそうです。生産をどこか外部に出すのか、その際にクオリティーは保たれるのか。
もちろんMach2陣営からも新しい動きがあることでしょう。新しいフォイルを開発するのか。はたまた全てを刷新したMach3が出るのか。この競争の先に新たな革新が生まれることだけは間違いないでしょう。