残念なナクラ

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ナクラヨーロッパから、これまでに出荷されたフォイリングナクラ17に対して全艇リコールが発表されました。内容はダガーケースのボトム側のベアリングの交換です。

まだ出荷されて間もないフォイリングナクラですが、既に複数の艇で風上のダガーボードが折れる問題が発生。荷重のかかるベアリングの風上側に肉厚が足りないことが原因と判明したそうです。

ACボートやGC32で採用されている、ローテーション式のベアリングを早急に製作し、既存のオーナーの元に届けるとのことですが、最大の問題は世界選手権が3週間後に迫っていること。しかも各オーナーには、対応するまでセーリングを禁止しています。

選手たちはたまったもんじゃないですよ。既に何ヶ月も前から飛行機や宿は予約しているのに、日程通りに大会が行われるのか分からないし、いつ練習再開できるのかもハッキリしない。しかもベアリングを交換しても、ダガーボードがこれまでの蓄積でいつ折れるか分からないという不安を抱えたままです。僕だったらもう発狂してるはず。

ナクラは時間をかけてすべてのダガーボードも交換すると言っています。常識的に考えて、今年の世界選手権は延期せざるを得ないんじゃないでしょうか。ただしその場合は選手たちに振りかかるキャンセル料の補償も必要になってきます。行くも地獄、戻るも地獄。

安全重視の観点から言えば、この真摯なリコール対応自体は評価されるべきです。しかしオリンピッククラスとしての採用は拙速だったと言わざるを得ません。派手なフォイリングボートを一刻も早く取り入れたいばかりに、開発途中のままナクラをフォイラーに変更してしまったワールドセーリングの責任も大きいと思います。

僕が思うにベアリング交換よりも最大の問題点は、フォイリングしてもあまり速くないことじゃないかな。事実、中風のコンディションで旧来のCフォイルのナクラに負けるシーンが多いらしい。まだ乗り手が慣れてないだけの問題だったらいいんだけど・・・

もう離れたとはいえ、ナクラの動向はとても気になります。どうか早く問題が収束していい方向に進んでいって欲しい。オリンピック本番まで3年を切ってるんだから。

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