大荒れだった今年のシドニー・ホバート。大本命と思われていたワイルドオーツXIを始め、多くの有望チームがリタイアしていく中、最初にホバートに姿を現したのはコマンチェでした。
スタート直後から艇団を抜け出し、2位を30マイル離してリードしていたコマンチェでしたが、夜に「何か」とぶつかってダガーボードとラダーを損傷してしまいます。半日を費やした修復作業の後に戦線に復帰。アメリカ艇としては1998年、あのラリー・エリソンのサヨナラ以来のラインオナーの栄冠を勝ち取りました。
2位を走るランブラーとアメリカ勢のワン・ツーフィニッシュなるかと思われましたが、フィニッシュ目前のカームに捕まっている間に、我らがアンちゃん、稲葉健太の乗るラガマフィン100が大逆転。見事でした。おめでとうアンちゃん!
シドニー・ホバートは世界に名だたる伝統の外洋レース。荒れ狂うバス海峡を横切る628マイルのレースがオーストラリアのセーリング文化に与えた影響は甚大です。フォイラーやスキフがどんなに高速でかっ飛んでも、50ノットのバス海峡を越えることはできないでしょう。ヨット乗りとして憧れを禁じ得ないレースです。