主役は選手!

カテゴリー SAILING

海外と日本国内のヨットレースを比べた時、海上のレース運営にはほとんど違いがありません。今回の全日本OPにしても、世界のどこに見せても恥ずかしくない、素晴らしい海上運営だったと思います。ただ僕がいつも残念なのは表彰式。これはもう、海外と国内では全然違います。

そもそも表彰式の主役は誰か?断言させてください。勝者、そして敗者も含めた選手たちです。彼らを讃えるのが表彰式なんです。そしてその主役から、大会の運営に対して感謝を述べる。これがあるべき姿なのに、運営が選手たちに賞をあげているという構図の表彰式が多過ぎます。

まず成績発表が間違ってる。だって大会の一番盛り上がるクライマックスですよ?なんでいきなり優勝から発表するんですか!んもー、逆ですよ逆!!

一番分かりやすい模範はオリンピックです。金メダルから発表される表彰式なんか見たことないはず。銅メダリストが最初に紹介されて壇上に上がり、次に銀メダリストは銅メダリストと握手してから登壇し、最後に金メダリストが2人のメダリストとの健闘を讃えあいながら一番高い表彰台に上がる。他の選手たちはこの美しい姿を見て、ああいつか自分たちもあそこに立ちたいと願うんです。

それだけではありません。勝者を最後に発表するのは、惜しくも敗れた他の入賞者たちのためでもあります。下位の入賞者から発表すれば、それぞれにベストを尽くした彼らも喜びを表現しやすい。なぜならその時点で一番上位だから。でも最初に勝者を発表してしまうと、どうしても見劣りしてしまうので徐々にトーンダウンして、せっかくの入賞も色褪せたイメージになってしまいます。

だからどうか順位発表は逆にしてください。お願いします。そして主役である選手たちを壇上に上げてください。プレゼンターが壇上からで選手は壇の下、しかも他の選手に背中を向けて賞をもらうなんて止めて欲しい。みんなが見たいのは選手たちの顔なんです!プレゼンターの顔じゃありません!

かつて全日本470の表彰式で似たような経験をしました。他の選手たちに背を向けて賞を貰い、その後なんと「回れ右」と言われ、「礼」をさせられました。なんで勝者がこんな扱いを受けなければならんのか。せっかくのレースの感動や興奮が台無しです。

表彰式を軽視してはいけません。表彰式は勝者を讃えるだけでなく、次の世代のモチベーションを高めるためのとても重要なセレモニーなのです。勝者が号令で礼をさせられるなんて、根本的に間違ってるとしか言いようがない。優勝してもあの程度なのかってガッカリされるだけですよ。

選手たちを地べたに座らせるのも良くない。何のためにステージがあるんですか。表彰台があるんですか。敗者は地べたから見上げなさい?違います。勝者はみんなから見えるくらい高いところに立つべきなんです。

いろいろと事情もあるとは思います。会場のサイズや予算の都合もあるでしょう。レース運営に労力を割き過ぎて、そこまで考えが回らないのが実情かも知れません。でも最後の表彰式次第で、その大会の印象は大きく変わるんです。思ってる以上に。

葉山モスワールドの表彰式は素晴らしかった。これだけは胸を張って言えます。式典のプログラムも、進行も、会場の設えも、これまでの経験を踏まえて徹底的にこだわりました。これから国際大会の開催も増えていくので、どうか表彰式にはこだわって欲しいと切に願います。もしアドバイスが必要であれば個別にご連絡ください。喜んでお手伝いします。

コメント

コメント(7) “主役は選手!”

  1. いよだ

    貴重な情報、プロのご意見を楽しみにいつもブログを拝見させていただいています。
    今回初めてコメントさせていただきます。

    本件!お嬢さんと同学年の子供が、今回の福岡の大会へはもちろん他の大会でもご一緒しているのですが、このご意見には全くもって同感です。よくぞ仰って下さいました!正直ヨットの大会って、運営側ってどこの大会もこんなものかといつもがっかりしていたのです。

    自分の子供が初めて大会に出場した3年前のJJYU若洲大会。親としても初めて経験した大会でしたので応援には熱が入りました!しかし目の前で信じられない事件が起こりました。
    何と初級クラスのレースで、岸壁とその目の前にある上マークの間に、大会委員長の乗った大型船が割って入ったのです。まだ上手く風を捉えられない1年未満の初心者クラス、しかも流れの強い若洲、ただでさえ風が弱いタイミングで上マークを回れない子供たちが団子になっているところ、風上を塞ぐとは、、、漸く船を動かしたのは会場全体からの冷たい視線を感じてから。表彰式に至ってはまさにブログの記事の通り、役員の年寄りの長い話もいらないですし、まさしく賞をあげてやってる、ですね。。海外から選手やサポートが大勢来ている事ですし見ていて何だか古い時代の日本的で恥ずかしいと思いました。

    東京オリンピックに向けて日本のセーリーング界を盛り上げていく為にも、セーリングをもっとたくさんの人に楽しんでもらいたいと願う者として、改革を願います。

    返信

    • hiroki

      2020は日本のセーリング界が変わる千載一遇のチャンスだと思います。世界に誇れるような大会が開催されれば、貴重なノウハウが残ることになるでしょう。逆にこのチャンスですら盛り上がれないんだったら、もう日本のセーリングは永遠に日陰のままかも知れません。関係者が力を合わせて状況を良くしていきたいですね。

      返信

  2. のりまき

    僕もいつもそれを感じていました。
    賞を得た選手が、他の選手とともに役員の方を向いて、賞を頂いている構図に違和感を感じています。

    一度だけ、琵琶湖の大会で、主催者が表彰台(1・2・3と番号がふってある山型のもの)を準備して、選手側を向いていました。
    プレゼンターが脇から出てくるオリンピックスタイルで、いいなと思いました。
    賞を得た選手も、自然に両手を挙げたりして、共に戦ったライバルたちとパフォーマンスで会話をしていました。
    もちろん盛り上がっていました。

    お嬢さんがOPを始め、親としてOPにのめり込みつつありますね。
    僕も元OP親で、「あんたもOPに成仏してきたね」と、先輩親からニコニコ顔で指摘されたことがあります。

    OP協会理事として、全日本やワールド最終選考会の事務局長・広報委員長をしました。
    自分なりに、「より多くの親を成仏させよう」と努力しました。
    「踊る阿呆と見る阿呆、同じアホなら、踊らにゃ損損」と思い、プレスボートに立候補した母親を乗せ、写真を撮りまくってもらいました。
    レース後データを貰い、即日プリントアウトし、写真掲示板に貼りまくりました。
    時間を決め、自由に我が子の写った写真を持ち帰ってもらいました。

    フィニッシュボートに携帯電話を持った母親を乗せ、フィニッシュ順位を毎レース終了毎にメール送信してもらいました。
    陸上本部の僕のPCで受け、成績ソフトで変換し、未確定速報としてレース順位・総合順位を、事前登録されたメールに送信しました。
    自宅や会社で待つ親御さんも、レースの臨場感を味わえます。
    フィニッシュ後10分あれば配信できるので、次のレースの準備中やマニューバリング中に、海上のコーチボートで一斉に電話がなり、話題になりました。
    陸上掲示板にも速報を貼り出すので、陸上待機のお母さん方にも好評でした。
    その日のレースを終えてハーバーバックしてくる選手が、船を置いたら一斉に掲示板に駆けてきて、面白かったです。

    何度か、選手の方を向いた表彰式もやりましたよ。
    やはりトロフィーをもらって喜んでる選手を見ることは、次の一流選手の卵達に良い刺激になります。

    返信

    • hiroki

      子供がセーリングを好きになってくれるのは単純にうれしいので、もう少しちゃんとつきあってあげなくちゃと思い直しています。実際ほとんど自分の子供には教えたことがありません。親バカにならないように一線を引いてきたんですけど、ま〜多少はしょうがないかなとw

      琵琶湖の表彰台は、僕の先輩イダコウジさんが作って寄付したものじゃないかと思います。イダさんは昔から日本の表彰式を嘆いていて、ついに自分で表彰台を作ってしまいました。でも琵琶湖の大会はいつも成績が悪くて自分は上に乗ったことが無いっていう笑い話です。全日本は3回も勝ってるのに。

      FBでも大きな反響があったので、これをきっかけに各地の表彰式が盛り上がるようになればいいなと願っています。

      返信

      • イダコウジ

        えっと、名前を出していただいたので失礼します、匿名希望のイダコウジです、ペコリ。

        話題となりました琵琶湖の表彰台は、僕が作ったものではありません。たしかに昔々にスナイプ級のレースのために製作しましたが、とっても不細工な出来栄えで大失敗でした。その表彰式をみた滋賀県連のひとが「なんだよ、もっと早く言えば、ちゃんとした表彰台があったのに」と、艇庫の奥から表彰台を出してくれました。おそらく、そのちゃんとしたほうの表彰台のことかと思います。

        その経験は、僕の数ある恥ずかしい想い出のひとつですが、理想を実現するために、自分ひとりでモヤモヤと考える前に、周囲の人に相談してみたら意外とあっさりと実現できることもあるんだな、と気付けた出来事でした。まあ僕は人見知りなので、今でも誰にも相談しませんけど。

        セーリング界を盛り上げるためには、老若男女が理想の実現のために気軽に意見を出し合える雰囲気と、そこで出たアイデアを実行に移せる行動力が大切だと思います。ゴトウ社長にはその輪の中心となって、今後も頑張っていただきたい。

        というわけで、理想の表彰台を生み出すために、ゴトウ社長にお願いがひとつ。今週末に開催される世界最高峰ヨットレースの表彰式において、優勝チームが表彰されるときに、ドサクサに紛れて表彰台にあがってください。そこから見える景色が、あなたにヒラメキを授けてくれるでしょう。折角なので、ギャラリーに向かってガッツポーズも忘れずに。

        ただ、警備員に捕まってボコボコにされても、僕は責任取りませんので、あしからず。日本セーリング界の将来のために、ゴトウ社長ひとりが犠牲になってください。

        なんちゃって。

        テレビ解説を楽しみにしてます、頑張ってくださーい!

        返信

        • hiroki

          わお、初登場ありがとうございます。琵琶湖でいっつもブーたれてたのが昨日のことのようです。ハッと気づけばもうオッサン街道まっしぐら。早いもんですね。

          相変わらず猿のようにレーザー乗ってるようで安心しました。きっと先週の日曜にすれ違ってたと思いますが、お互い気づきませんでしたね。気づかなくて良かったなとまた安心しました。なんちゃって。

          先輩の蒔いた種から芽が出てきましたよ。大きく育てばいいですね。

          返信

  3. […] 成績発表がいきなり総合優勝からだったのには、膝から崩れ落ちそうなほど落胆しました。去年の全日本OPでも同じことを書いたし、FBでも発信しました。たくさんの賛同をいただき、来年は繰り返さないように引き継ぐと言っていただいたのに、また同じだったのが残念でなりません。日本の表彰のスタンダードを変えたいんです。みなさんどうかご協力ください。 […]

    返信

コメントする




«   »