いよいよスーパーサンデーです。ACワールドシリーズ2012開幕戦、ナポリ最終日。昨日レースが悪天候で行われなかったため、マッチレースのセミファイナルとファイナル、500mスピードトライアル、そしてファイナルフリートレースが連続して行われます。
スタートの2時間前には既に会場周りが黒山の人だかりで、呑気な僕たちは完全に出遅れ。海岸沿いは満員電車状態です。ヨットレース見るのにこんなに必死になるなんて、日本じゃ考えられません。ほとんどの人が単なる野次馬なんだろうけど、野次馬根性を刺激できるヨットレースっていうのが今回のACの狙いだとすれば、間違いなく成功してます。
コンディションは雨ベタ。ハッキリ言って最悪でした。燦々の南イタリアをイメージして来ただけに、とても残念です。時折雨と一緒にふわっとブローが降りてきて、スピードトライアルなんか不公平もいいとこ。たまたま良いブロー入ったアルテミスやオラクル・バンドックが勝って、暫定トップだったエミレーツは10秒以上も遅いタイムでした。
そしてファイナルフリートレース。別名Winner takes allと呼ばれ、それまでのフリートレースの勝者が10ポイントだったところに、最終レースだけ50ポイントもらえるという、安いクイズ番組みたいなシステムです。地元の大声援を後押しにこのレースを制したルナロッサ・ピラニアが、初参戦にしてAC45ワールドシリーズinナポリの総合優勝を飾りました。(序盤の強風で盤石の走りを見せていたエミレーツが不憫でなりません)
まぁ細かいダメ出しはできますが、そんなことよりフネがカッチョイイ。特にダウンウインドでパフが入った時にヒールしながらギューンとベアしていく瞬間がたまらなく。そして、レースが分かりやすい。実際に会場に来てみると、思ってたよりさらにコースが短いんです。もう笑っちゃうくらい。冗談じゃなくOPより短い。そして岸から近い。めっちゃ近い。
随所に観客を意識した取り組みがあって、観客もそれを心から楽しんでる。なんていうか、関係がフラットなんです。見せてやってる感も見てもらってる感もない。観客にへりくだって、ルールの解説なんかしないけど、しなくても充分楽しめるレースフォーマットになってる。マッチレースはモノハルじゃないと云々なんて反対意見もありましたが、観客からしたらこっちの方が楽しいのは間違いありません。
Twitter上では最終日のライブ中継を観ながら「ベタでつまらん」という嘆きがありました。僕も日本からYouTubeで観戦してたらそう思ったかも知れません。でも現場はすごい迫力あったし、盛り上がってました。逆に言えば、あんなコンディションですら観客を楽しませるレースができるってスゴイと思います。いままでのACだったらきっとつまらないし、そもそもレースしてないんじゃないかな。
セーリングの楽しさを最大化する
僕の理想を実現するひとつの方向性として、とても参考になりました。やっぱりこれは実際に見て感じないと分からない。来て良かった。うん。
ACワールドシリーズ次戦は5月15から20日までベネチアで開かれます。