ボルボがえらいことになってきました。日本を通過した第4レグの後、オークランドからブラジルまでの第5レグは6艇中5艇がトラブルで一時寄港するという前代未聞の大荒れに。唯一無寄港で走り切ったプーマがレグを制しましたが、ケープホーンでピットストップのような修理を施したテレフォニカの追い上げは、さすが総合トップと思わせるに充分でした。グルパマはトップを走りながらフィニッシュ目前で無念のディスマスト。ジュリーリグを立てて3位でフィニッシュしました。あのままトップだったらテレフォニカを抜けたのになー。

次のマイアミまでの第6レグは、プーマ、カンペール、グルパマ、テレフォニカと、トップ4が総合順位の逆にフィニッシュ。これで一気に点差が縮まり、1位から4位までたったの14点差に。総合優勝争いが面白くなってきました。そして現在はリスボンまでの第7レグの途中で、暫定順位がアブダビ、プーマ、グルパマ、カンペール、テレフォニカの順。もしこのままフィニッシュするとグルパマが総合トップに立ち、2位がプーマ、テレフォニカは3位まで転落します。

さぁ盛り上がってまいりました。このままアブダビが初のレグ制覇なるのか?グルパマは3位を守って総合トップに立てるのか?テレフォニカが意地を見せて前を行くカンペールをとらえ、総合首位を堅持するのか?

24時間ぶっ通しで走りながら、常に自艇と相手艇のポジションを把握し、限界ギリギリのプッシュを続ける。地球を回りながらこんな勝負を繰り広げるセーラーたちはホントに凄い!ボルボオーシャンレースは我々の愛するセーリングが、他のどんなスポーツにも負けないスケールの大きさを持っていることを実証してくれます。しびれるぜ。

このレースがウィットブレッドと呼ばれていた頃、93-94年の大会では小松一憲さん、原健さん、松永香さんと3人の日本人セーラーが参加し、小松さんの乗るヤマハが総合優勝を飾りました。小松さんにはその時の話しを何度も聞き、いかに自分の経験が未熟かを思い知らされたものです。

あの時、ほとんど全てのレグを制して総合トップを走っていたのは、原健さんが乗り、クリス・ディクソンがスキッパーを務めるTOKIOでした。しかしレース大詰めにまさかのディスマスト。当時は今のようなポイント制ではなくタイム制で、一度のディスマストがTOKIOを一気に下位に沈ませたのです。ポイント制ならTOKIOのダントツ優勝でした。

昨今のボルボでは当時より素材も技術も格段に進歩したのに、トラブルはむしろ増えてます。プーマもグルパマもディスマストしてるし。まぁもちろん、スピードも段違いに速いんですけどね。速く走りたいというセーラーの欲求は止まることなく、道具の進化がそれに追いつけてないってところでしょう。

ボルボはいつか出てみたい究極のヨットレースです。稀に見る大接戦を繰り広げる今回は、最後まで目が離せません。

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