夜に入っても南西が吹き続け、少しでも大型艇に食らいつけるよう集中して走ります。御前崎を越えてからは追い潮が入るようになり、SOGで10-12ノットと展開が更に早くなりました。夜半には石廊崎を越え、明け方に利島へ。そしてここで分かれていた艇団が集まり、自分たちの進捗状況を確認することができます。我々の位置は決して悪くないのですが、同じBクラスのGaiaがすぐ後ろに張り付いていて、このままでは勝てません。なんとかGaiaを引き離すことをターゲットにしながら利島を回航し、大島をかわして、江の島までの最終ダウンウインドレグに突入しました。
Gaiaに修正で勝つには、フィニッシュで40分離す必要があります。でもどう見ても10分くらいしか離れてなさそう。残り30マイルで40分に伸ばすために、メイントリマーのネゴちゃんが全身でパンピング!どりゃーーーー。
そしてスタートから25時間弱の12時57分。全体の10着で江の島沖にフィニッシュしました。ロングレースのフィニッシュは、ブイ回りのそれとは比べ物にならない達成感と喜びが襲ってきます。おつかれちゃーん!
結局Gaiaは我々の20分後にフィニッシュ。クラス優勝は泡と消えました。とっても悔しいので泡でも飲みますか。プシュ!桟橋で乾杯だ!
それにしても、ラッキーレディーの愛すべき馬鹿野郎どもはサイコーです。以前書いたように、乗りたい時に、乗りたい仲間と、乗りたいフネに乗ればセーリングは絶対に楽しい。つまり僕にとってこのパールレースは三拍子揃った完璧なセーリングなのです。バファリンの半分がやさしさでできているのなら、ラッキーレディーの半分は氷結でできているといっても、穴ギャツ間違いではありません。とにかく飲みっぱなしで笑いっぱなしのゴキゲンな時間を堪能しました。
2年前に初めてパールレースに乗せてもらうまで、恥ずかしながらオーバーナイトでヨットに乗ったことがありませんでした。記念すべき初めてのオーバーナイトで、まさかの電源喪失。航海灯も計器も消え、図らずも星を頼りの天文航法となりました。でもその夜、遠州灘で見上げた天の川と、漆黒の海に瞬く夜光虫の美しさは忘れられません。初めて自分の子供にヨットをさせたいと思いました。
ディンギーに乗ってるだけでは決して味わえないセーリングの醍醐味をパールレースは教えてくれます。特に今年はセーリングの楽しさを凝縮したような2日間でした。運営のみなさん、ラッキーの仲間たち、そしてこの忙しい時に今年も送り出してくれた嫁さんに感謝します。ありがとう。
ANAギャッツのくだり、最高です。
ありギャッとう