汗は裏切る

カテゴリー SAILING

4年に1度の祭典が幕を閉じました。僕らはウェイマスに2時間くらいしか滞在しなかったけど、それでも初めて生で見るオリンピックは特別なレースでした。その違いを生んでいるのは、選手の喜び方と落ち込み方です。毎年開かれる世界選手権やワールドカップイベントとは、まったく重みの違う喜び。そして悲しみ。だからこそ見るものにことさらの感動を与えるんでしょう。

オーストラリアは前評判通りに3つの金、そして女子マッチで銀をとり、セーリングでの最多メダルを獲得しました。レーザーのトム・スリングスビー、49erのネイサン・アウタリッジ/イアン・ジェンセン、そして男子470のマット・ベルチャー/マルコム・ペイジ。オーストラリアは全競技での金メダルが日本と同じ7個なので、このセーリングの3個がどれだけ価値が大きいか分かりますね。オージーはリオでもセーリングに力を入れること間違いありません。

全競技でメダル獲得とまで言われたイギリスですが、金メダルは結局ベン・エインズリーの1個だけでした。男女の470とスター、RS:X男子で銀メダル。男子470では3大会連続の銀メダルです。すごいんだか何なんだか・・・狙っても難しかろうに。

全般的に風に恵まれ、そしてなによりライブストリーミングが充実していて、かつてないほど観戦しやすいオリンピックでした。これで日本チームが前を走ってくれれば盛り上がったのですが・・・残念ながら惨敗の評価を免れない成績でした。力がなかったとは思いません。力を発揮する力が足りなかったんだと思います。

学生の頃にヨット部の監督にこう言われたことがあります。「ええか、後藤。人間には保有能力と発揮能力というのがあってやな、まったく別のものなんや。お前の保有能力は充分高いんやから、それを発揮することをもっと考えなあかんぞ。」さりげなく保有能力が高いと言われたことが嬉しかったのもあって、すごく心に響きました。

テレビCMでは「汗は裏切らない」などと言ってますが、努力を積み重ねれば必ず花開くような風潮はどうでしょう。オリンピックの最終選考でつまらない負け方をした僕だから言えますが、汗は平気で裏切りますよ。努力の量だけで勝負が決まるなら、石橋/後藤組は金メダルでしたよ。

オリンピックのような大舞台で自分の最高のパフォーマンスを発揮するには、そのためのトレーニングが別に必要だと考えます。その点で、アテネの関/轟組や北京の松永/上野組は能力の高いペアでした。彼らがオリンピックをどう戦い、どう力を発揮したかが知りたいですね。セーリングだけでなく、日本選手団全体に言えるような気がします。汗は裏切るんです。汗だけじゃ足りないんですよ。

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