fiveringsレスリングが2020年のオリンピック中核競技から外されて話題になっています。放映権料、観客数、競技人口、男女比率などの基準で判断されたとのことですが、この手の決定はいつの時代も、いやらしい大人の事情が見え隠れして、遺恨を残す結果になりますね。

近代五種やテコンドーが残ってレスリングが外れるなんておかしい!という論調を見かけます。それもそうだけど、僕はよくセーリングが外されないなと感じます。テレビ放映権?観客?競技人口?男女比率?どれもこれも我がセーリングの最も苦手とする分野じゃないですか。絶対にその基準で選ばれてないでしょ。

セーリングは全ての五輪正式競技の中で、開催に要する予算が2番目に多い競技です。風が吹かないと予定通りにレースが行われないのでテレビ中継に向かない。ルールが分かりにくい。途上国に普及していない。などネガティブ要素のオンパレード。

それでもセーリングが外されないのは、西欧諸国が強いから、王族が選手として出場することもある高貴なスポーツだから、現IOC会長のロゲ氏がセーリング出身だからなどと言われます。残るのは喜ばしいことだけど、なんだか釈然としないのは僕だけですか?

これからレスリング関係者は、実施競技残留に向けて必死のロビー活動を展開するでしょう。マイナー競技にとってオリンピックの実施競技であるか否かは存亡に関わる大問題です。他にも復活を目指す野球・ソフトボールや新規採用を目指すスカッシュ、空手、ウェイクボードなど7競技がふるいにかけられ、たった1つの枠を争います。9月のIOC総会は、開催地が東京になるかどうかと合わせて、何の競技が選ばれるかも注目です。

僕はかつて、会社を辞め、人生を賭けてオリンピックを目指しました。オリンピックに対する憧れは人一倍強いと思います。でも、オリンピック競技だからセーリングが好きなわけじゃありません。セーリングが好きだから、誰よりも速く走りたかった、その思いの延長がオリンピック挑戦だっただけです。

もちろんセーリングが今後もオリンピック競技であって欲しいし、そのためのすべての活動を否定するものではありません。ただ、オリンピック競技でなければ競技の存亡に関わるようなセーリングであってはならないと思うのです。セーリングを愛する我々が、それぞれのフィールドで心からセーリングを楽しんでいるなら、オリンピック競技であろうがなかろうが、仲間はきっと増えていくはず。

たとえば最近この近辺でやたらと盛り上がってるスナイプ。江の島では草レースでも70-80艇のエントリーを集め、年齢性別を問わずにセーリングを楽しんでいます。裏には関係者の努力もあるんでしょうが、なによりもセーラーたちが楽しんでいるのがよく伝わってきます。それで自然と人が集まってきてるんでしょう。スナイプ乗りはオリンピック種目じゃないことをまったく意に介しません。IOCやISAFに首根っこ掴まれて言いなりになるくらいなら、オリンピック種目になんかならなくていい。自分たちで楽しくやるんだ。スナイプにはそんな気概が溢れています。

そんな気概をセーラー全員が持っていれば、IOCの決定に一喜一憂する必要なんかないはず。鼻で笑ってやれい。ハッハッハッハ。

それにしても、ロビー活動をしなければ、古代オリンピアの頃から続くレスリング競技すら除外されてしまうというのは悲しい話です。セーリングにその日が訪れないように、僕は僕にできること、セーリングを誰よりも楽しむことを続けていきたいと思います。

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