ISAFセーリングワールドカップファイナルがアブダビで開幕しました。初日は15ノットオーバーのいい風が吹き、女子470の吉田/吉岡と山口/畑山は暫定1位と3位で絶好のスタートを切った模様です。青島ラウンドに続いてのダブル表彰台を期待したいですね。

決して水を差す訳じゃありませんが、この大会、お世辞にも盛り上がってるとは言い難いのが実状です。世界から選りすぐりのトップ20艇を集めるという触れ込みで始まった大会なのに、ほとんどのクラスで定員割れ。ナクラとFXにいたっては開催すらされていません。青島で敗退した僕らにすら招待が回ってきましたからね。ビックリしました。それだけ不人気という現れです。

平井さんも書いてましたが、オリンピックを目指す選手たちの忙しさは年々増すばかりです。大陸を跨いでワールドカップを開催していきたいISAFの思惑は分かりますが、カラダ一つで戦える競技と違って、セーリングの場合は道具の輸送が足枷になり、そう簡単に世界を転戦できません。3-4艇のレース艇を各大陸へ、西へ東へとやりくりするのは非常に時間と手間とお金を浪費する作業です。輸送専門のスタッフでも雇っていないと、選手は遠征準備だけで忙殺されることになります。

それともう一つ大きな問題は、大陸毎に分けられた国枠システムです。問題というと語弊があるかな。僕らはまさにそのアジア枠を狙おうとしていた訳だから。ただこの大陸枠を争う大会は、ともすれば、えげつないチームレースになりえます。青島のフィンが好例で、中国9艇対イラン1艇ですからね。しかも運営も中国となれば、もう四面楚歌としか言いようがありません。イランが前を走ってると、レグの途中で運営艇がマークを動かしたり、信じられない話をたくさん聞かされました。

ナクラでも9艇中4艇が中国だったので、エースの中国艇を勝たせるために順位を譲ったり、相手を露骨に妨害したり、明らかなチームレースが散見されました。結局アジア枠はシンガポールが獲得しましたが、ISAFは事態を重く見るべきです。大陸予選に出られる数に制限を課すなどの対策が必要だと思います。

最終日、もし中国がチームレースで前を走って、シンガポールが自分の後ろを走ってたら、レース途中でもリタイアするつもりでした。そんなレース、僕の愛するヨットレースじゃないからです。セーリングの魅力やシーマンシップとまったくかけ離れたレースと言わざるを得ません。昔から枠のかかったレースには、いろんなドラマが起きるもの。ドラマなら構わないけど、人為的な事故や事件は別問題です。

勝ちたいのは誰でも一緒。でも越えちゃいけない一線がある。公正な帆走はルールの基本なんだから。今回の経験をもとに、ISAFにはレースの場所やサイクル、選考方法について考え直して欲しい。そう切に願います。

コメント

コメント(2) “アブダビファイナル開幕”

  1. 博多の官兵衛

    ヘイ、アミーゴ‼︎
    世界一盛り上がらないワールドカップになってるよな〜 (´・_・`)
    世界上位ランカーもこぞって辞退するレースに意味がないような気がするぞ…。
    もし、優勝賞金が破格の金額だったら⁈ と思ったりもした。

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