VSR F-10

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サンタンデールの最終日に、VSRの最新モデルF-10に試乗することができたのでレポートします。このF-10は以前ご紹介したVSR5.15(仮名)の開発を終えた量産バージョンです。

前回試乗した時の感想も悪くありませんでしたが、今回はまったく別の感想を持ちました。素晴らしい!これは今後のコーチボート界の主流になっていくと見て間違いありません。初代モデルに乗った時以来の感動を覚えました。

F-10最大の特徴はウォーターバラストです。重量が軽く、Vの深い船形には停止安定性という弱点があります。漂泊中にふらふらと横揺れしてしまうのはVSRの唯一の問題点でした。トランサムの穴からダブルボトムに水を入れて喫水を7-8cm下げることで、このF-10はいままでのVSRの中で最も停止安定性に優れています。感覚としては20フィート以上の大型RIBのような、どっしりとした安定感です。

それでいていざ発進すると、エンジンの出力(試乗艇はスズキの40馬力)によってあっという間に(正確には3.4秒)バラストウォーターは排出されて伸びやかに加速していきます。水が出ている間も、スターンが沈んでしまって抵抗になる(ハンプ状態)こともなく、VSRらしいとてもスムーズな加速。

艇体の強度も上がっていて、波に叩かれたり、急ハンドルを切ったときでもたわみやきしみがありません。小回りも良く効くし、特にバラストが入って喫水が下がっている時は、その場で回頭すると言ってもいいくらい。舵効きがいいので多少の風ならバウを風上に立てて維持できるとのことです。それって本当なら革命的ですよね?残念ながら試乗時は風が弱く試せませんでした。

艇体重量の軽さから、波があると弾みます。上位モデルのように切り裂いて走ることはできません。ただし弾むといってもピッチングではなく、全体が上下動するので、嫌な感じはありません。波あたりもすごく柔らかい。腰に突き上げてくるような衝撃は皆無です。

あまりよく獲れた動画ではありませんが、走りの軽快さは伝わるかな?他船の曳き波に全速で突っ込んでも、まったくスプレーが上がらず、キレイに乗り越えていくのが分かると思います。

このF-10の開発コンセプトはもともと、低価格を実現することに焦点を当てていました。実際に既存モデルに比べて大幅に価格を抑えることに成功しています。しかし実際の乗り味や仕上がりのクオリティーはまったく遜色ない、いやむしろ勝っている部分もあるくらい。だから心底驚いたのです。

荷物の搭載スペースが少なかったり、チューブカラーがこのグレー以外を選べなかったりと制限もあります。それでもこのF-10は間違いなくコーチボート、ジュリーボート、マークボートとして今後のワールドスタンダードになっていくでしょう。東京オリンピックに向けても、いい時機にいいフネができたものです。

IMG_4846サンタンデールのコーチボートパークはご覧の通り、ほとんどVSRだらけです。RS:Xもレーザーも470もフィンもみんな。中でも49erやナクラのようなハイパフォーマンスボートには、ハイパフォーマンスなVSRが不可欠です。

我が社もF-10を1艇追加で購入しました。遅くとも年末には日本に届く予定です。特にいままでVSRの購入に手が届かなかった方々に、F-10を強くお勧めします。お見積りや試乗のご要望がありましたらどうぞご遠慮なくお問い合わせください。

コメント

コメント(2) “VSR F-10”

  1. 橘 なおみ

    転んでもタダでは起きないGTO!
    サンタンデール最大の収穫かな^_^

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