カップの裏側

カテゴリー SAILING

至高の銀杯が22年ぶりにニュージーランドに戻ることが決まり、勝敗を決めた要素を各セーリングメディアが挙って探っています。見た目に派手な足漕ぎグラインダーだけでなく、いろんな水面下での戦いが繰り広げられていたんですね。とても興味深い。

エミレーツとしては、とにかく前回の轍だけは踏まないように徹底していたようです。前回もAC72がフォイリングできるという事実をあと1週間隠しておけば、オラクルは追いつけなかっただろうと言われています。だから今回は新艇をおろすまで足漕ぎを隠し続けたし、あのビッグフォイルも本戦ギリギリまで使いませんでした。プラクティスレースを重ねる他チームを横目に、一度もまともに走り合わせることもなく。徹底して秘密主義を貫いたのが大きな勝因になったようです。

今回エミレーツにとって最も危うかった日は、もちろんあのキャプサイズの日でした。幸いその翌日は荒天でレースが行われませんでしたが、もし行われたとしたらエミレーツの修理は間に合っておらず、レースを落としていただろうとグラント・ダルトンが告白しています。

そしてチャレンジャーファイナルの2日目。15ノットほどの風の中でビッグフォイルを使ったあの日、実は完全に設計強度を越える負荷が掛かってしまったらしく、かなり深刻なダメージを抱えていて、その後のレースでいつ折れても不思議じゃなかったそうです。あえてビッグフォイルを使ったのかと思ったら、完全に風の読み違いだったらしい。へ〜そんなこともあるんだなぁ。

そしてオラクルとの最終マッチ。やはりあのノールックジャイブは相当練習してたらしいですね。トリマーのグレン・アシュビー曰く、彼らだけウイングを引くだけでなく押すこともできるんだと。だからトリマーが風上にいようが風上にいようが、タックジャイブが可能なんだそうです。なるほど、緩めて出すだけでなく押せるのか。だから停止状態からの加速も速いんですね。

最後に次のカップで採用される艇種について、モノハルに戻すなんて噂もあるみたいですが、いや〜きっとそれはないと思いますよ。あれだけ最高の人材がデザイナーにもセーラーにも揃ってるんだから、カップを防衛できる可能性が一番高い艇種を選ぶに違いないでしょう。僕はきっと次もフォイラーだと思います。2021年ですかね。あと2週間くらいで何らかの発表があるでしょう。

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