Kite is out!

カテゴリー SAILING

なんということでしょう。ISAFはアイルランドで開かれた総会で、2016年のリオデジャネイロ五輪のセーリング種目を発表したのですが、その内容は5月のミッドイヤーミーティングでの議決を覆すものでした。

その時書いたように、一旦はカイトセーリングを鳴り物入りで採用したにも関わらず、そんな決定はなかったことにして、ウインドサーフィン種目のRS:Xが復活採用となったのです。僕はウインドが外れるのは反対でしたが、カイトが入るのには賛成でした。本来この2種目は一つの枠を競いあうような種目ではないと思っています。

っていうか、なにより問題なのはこの意思決定プロセスのグダグダ加減じゃないでしょうか。この決定に世界中でどれだけの人が振り回されたかを思うと怒りが込み上げます。狼少年みたいに誰も言うことを信じなくなるんじゃないですかね。

ウインドの復活は、存続を願っていた人たちにとって喜ばしいことです。でもまた4年後にどうなるかは誰にも分かりません。それぞれの種目に対して定量的な評価をきちんとしてないからこんなフラフラするんです。

過去にもISAFは女子キールボートや女子マッチレースという、お世辞にも普及しているとは言いがたい種目を採用しました。この種目を普及させるという腹積もりがあっての決断なら支持できるのですが、イングリングは2回、女子マッチにいたっては僅か1回で終了です。なんだったんだよ。何がしたかったんだよ。ホントいいかげんにしてくれよ。

IOCから制約を受けてるのはセーリング競技の選手総数とその男女比であって、何の種目を採用するかはISAFの裁量で決められるはずです。なぜにこんなに普及している種目同志を競わせて、まったく普及してないフィンが残り続けるのか。長期的なビジョンはないのかと問いたい。

僕らはいいんですよ。もうオリンピックを目指してなんかないし、自分の好きなことを続けてるだけですからね。ただこの競技の将来を担う若い才能たちが、こんなしょうもない決定に振り回されるのだけはホント勘弁して欲しい。

今回の発表の中で唯一評価できるのは、8年後の2020年の「コア種目」を発表したことです。

  • シングルハンド男子 レーザー
  • シングルハンド女子 レーザーラジアル
  • ダブルハンド男子 49er
  • ダブルハンド女子 49er FX

少なくともこの4種目は向こう8年安泰です。ダブルハンドの男女は長らく470の指定席でした。オープン種目としてシドニーから採用された49erが、FXを得てついに男女ダブルハンドとして主役に躍り出たのです。470がコアじゃないと言われるのは日本のセーリング界にとって衝撃ですよ。

この「コア種目」の発表は、4年ごとにコロコロ方針を変えるISAFが批判をかわすための、精一杯の自浄作用だと見るべきです。言い方を変えれば、コアでない種目はいつ外されてもおかしくない。JSAFが強化の中心に置いてきた470とウインドはコアじゃないんです。

僕は今回、本気でISAFに嫌気がさしました。日本の政治より、鳩山政権よりひどい。言いすぎかw とにかくもうこの人たちの発表に一喜一憂するのは辞めようと思いました。せめて新会長以下の上層部が、この愛すべきセーリング競技の長期的なビジョンを打ち出して、若い才能たちに見限られないような運営をしてくれることを祈ります。

FXはコア種目。しかも2020は東京かも知れません。いまOPに乗ってる女の子が、東京オリンピックの女子ダブルハンドで金メダルを取ってることを夢見て、今日は眠りにつきましょう。おやすみなさい。

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