SIN vs SIN

カテゴリー SAILING

今日はフリートレースではなく、チームレースの日。それぞれの国が4艇のチームを作り、トーナメント形式で勝者を決めます。日本では広島を中心にチームレースを普及させる動きがありますが、まだ充分にその面白さが広まっているとは言い難い状況です。しかし、OPの世界選手権では、ある意味フリートレース以上に盛り上がるのがこのチームレース。強豪国のチームレースに対する熱の入れようは半端じゃありません。

実際、トップレベルのチームレースは面白い。この動画を見てください。

決勝のシンガポール1対シンガポール2の第2マッチです。高画質でなおかつ大画面じゃないと分かりにくいけど、いかに接戦であるかは分かると思います。黄色リボンのチームがワンツーで入ったあと、もう1艇の黄色がフィニッシュラインにシュートしたのに僅かに届かず、青リボンが3-4-5-6で入りました。

これが4対4のチームレースの醍醐味です。1-2-7-8と3-4-5-6はどちらも合計18点なのですが、同点の場合はトップを取った方が負けなので、3-4-5-6が勝ちになるのです。ワンツーだからと油断してフィニッシュしてしまうと、4艇対2艇の状況になり、相手に3-4-5-6を取られて負けてしまいます。

チームレースが未熟なチームは、ワンツーの状況を守りたいばかりに相手をカバーしきれず、3-4-5-6を作られがちです。上手いチームはどうすると思いますか?ワンツーの選手は3位と4位を無視して、5位と6位のフネをカバーしに行くのです。相手にワンツーを譲り、3-4-5-6を作るために。

するとまたワンツーにされた方が戻ることになり、お互いに戻りまくってなかなかレースが進行しなくなります。目まぐるしく順位が入れ替わり、外から見ているとどっちが勝っているのか全然分かりません。でも選手たちは瞬時にその状況を把握し、とるべき行動を判断しているのです。

ちなみに動画でたまにクルッと1回転しているのは、相手にプロテストされて、自分で非を認めたフネです。ジュリーから判定を出されてしまうと2回転になるので、自分が悪いと判断したら、笛を吹かれる前に回ってしまいます。頭の回転もフネの回転も速い!あっという間に戦線復帰しちゃうんだな。

確かにチームレースは選手にとって、ボートハンドリングやルールの知識、瞬時の判断力などを磨く練習になるでしょう。ただ基本的なセーリングスキルが高くないと、走りだけで勝負が決まったり、カバーしに行ったつもりが抜かれたり、フネぶつけたりで、まったくチームレースの体をなしません。これくらいのレベルのレースが出来るようになれば、チームレースも盛り上がるんだろうけど。日本チームの戦いぶりを見ていると、まだまだ同じ土俵に立てていませんね。いやー、久しぶりにいいもの見せてもらいました。

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