サインはV

カテゴリー SAILING

大会5日目。アジア選手権も残すところ今日と明日だけなのに、まだフリートレースは2レースしか成立していません。最低でも5レースを消化しなければ大会が成立しないので、今日はなんとしてでも風が吹いてもらわないと困るのです。

関係者の願いが通じたのか比較的早い時間に南風が入り、終日6-7ノットの微軽風でしたが、なんとか4レースを消化することが出来ました。これで合計6レースとなり、大会の不成立は免れたことになります。ヤレヤレです。

肝心のレースの中身ですが、ハッキリ言ってこの大会はアジア選手権というより、シンガポールとタイの親善試合と呼ぶほうがふさわしい。日本を含め、他の国はこの2国の引き立て役でしかありません。成績表は1位から14位まで、SINとTHAしか無いんですから。

一体彼らは何が違うのか?分かり易い動画が撮れたので見てください。

シンガポール3艇と日本の1艇がダウンウインドでゲートマークへ向かってきます。注目して欲しいのはアンヒールの角度です。4艇のうち、特に両端の2艇は40度から45度くらいアンヒールして、マストとブームが丁度きれいなV字を描いていますね?これが速い選手の特徴なんです。

OPは箱形なので、45度のアンヒールで接水面積が最小になります。ここまでアンヒールさせることで、チャインがキールラインの役目を果たし、なおかつセールの効果中心も、そのキールラインの真上に来るんです。

もちろんアンヒールさせた方が速いのは、みんな知ってることだけど、ここまで徹底してはできていない。そういう小さな違いの積み重ねが、大きな差を生んでいるんだと知るべきです。速い選手はどんな時でも、非常にキレイにセールを張ります。マーク回航の度に、きちんとスプリットのテンションを変えます。クローズのスプリットテンションのままダウンウインドを走るなんてことはないんです。

例えば僕がアカデミーで教えに行くと、マークを回るたびにスプリットを抜く選手など一人もいません。それどころかセンターを上げない選手も多い。だって上げても上げなくても大差ないからって。んーなわけない。

OPのように厳格なクラスルールのフネで人に先んじようと思ったら、ホントに小さい、細かいことの積み重ねしかないんですよ。キッチリ艤装して、シッカリ集中して走らせて、バシッとタックを決めて。ボートスピードなんてコンマ1ノットも違わないでしょう。でも一つの動作で数センチ、一つの波で数センチ、少しずつ周りよりゲインすることで、上マークまでには数艇身を稼げる。その数艇身が効くんです。ミートの時に前を切れるだろうし、その分自由にコースが取れる。

何レースやってもSINやTHAが前にいるのはそういうことです。滑りが違うんです。一瞬一瞬を切り取れば、体感できないほどの差かも知れないけど、ちょっとずつ確実に彼らは前に出ていきます。いやーホント、彼らの走りは美しいですよ。OPの上で産まれたんじゃないかと思うくらいに、フネとカラダが一体化しています。

断りきれずに、しぶしぶ受け入れた運営手伝いでしたが、結構楽しんでいる自分に気づきましたw 明日は最終日。チャンピオンはどちらの国から出るのか?

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