仕事にも家族にも多大な犠牲を強いてまで参加したハワイモスワールド。冬のオーストラリア遠征で力不足を痛感していたので、ハワイで同じ思いをしないために新艇を購入し、気合いを入れて艤装し、最高の準備をして現地入りしたつもりでした。

実際、僕のフネは海外のトップ選手のフネにも全く見劣りしない仕上がりでした。スピードも速かったし(世界で3位!)、タック・ジャイブはレガッタ期間中にもどんどん進化していきました。ワンジーとハワイの両方に行ったからこそ得られた収穫だったとも言えます。モスを始めて5年。いままでで最も世界に通用した大会でした。

逆にダメだったのは、スタートの安定感とマーク回航。どちらも普段の1艇や2艇での練習ではまったく経験を積めていません。あきらかに練習不足です。もっとマークを回ったり、タイム&ディスタンスを合わせる練習をしないとダメですね。日本で楽に乗りすぎてるんだな。

10番台を走れるようにはなりましたが、まだトップ10はだいぶ遠いです。あそこに入るには、人真似でなく、独創的なアイディアでフネも走りもさらに進化させる必要があります。実際、ある選手は徹底的に空気抵抗を減らす努力をしているし、ある選手はリグのカンティングを追求しているし、またある選手はフォイルの形状やサイズを追求しています。自分がこうだと信じる道を徹底的に追求する姿勢が、僕にはまだ足りないということです。

モスの世界では常に進化し続けないと生き残れません。たとえば現在、空気抵抗を減らすトランポリンが大流行しています。フロント部の編み上げを無くしてすっぽり覆ってしまい、後ろで編み上げてベルクロでカバーする仕様です。いままで常識だった、補助の浮力をもたらすアップバッグはついていません。

人間は一度そういう進化した道具を目にしてしまうと、突然自分の道具がショボく見えてしまうから不思議です。トランポリンのアップバッグなんて、自転車の補助輪みたいなものと感じだすのです。周りにそう感じさせる進化を、周りよりも早く遂げていかなければ、永遠にトップ10には入れないでしょう。

今回僕にとって一番良かったのは、古谷さんとずっと一緒だったことです。トップ選手のフネに刺激を受け、古谷さんと連日連夜いろいろなアイディアを話し合いました。実現可能か不可能かは置いておいて、これほど真剣にフネを早く走らせることを模索したのは初めての経験です。来年のワールドまでに試したいことがたくさんできました。来年も行けるかどうかは知りませんがw

いつの日かトップ10に入って、トップ10だけに許される自分の順位のセールナンバーをつけたい!本気でそう思っています。あぁモス面白い。モスに出会えてホントに良かった。

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