ウェイマスワールドカップ2日目。朝マリーナに着くと、東南東の風13ノット程度ですがこのあと25ノットに上がる予報です。人から借り物のマストで出るべきかどうか、迷いに迷いましたが、出艇直前に出ないと決心しました。
一番大きな理由は、ナクラヨーロッパ本社にマストの在庫が1本もないことです。世界中でマストが折れ、供給が追いついていないのです。次の入荷は7月初旬の予定。ということは、この次のキールウィークやワールドに向けては、他のセーラーの予備を売ってもらうしかありません。
自分たちは中古のマストでもまだいいけど、他人のマストをもし折ってしまったら・・・今日の予報で海に出るのはあまりにリスキーです。
仕方なくレース委員会に出艇しない旨を伝え、アメリカチームのコーチ、ミッチ・ブースに頼んでコーチボートに同乗させてもらうことにしました。沖で3レースを観戦し、上位チームと下位チームで何が違うのかを解明してやろうと。トルネードで2つのメダルを持つミッチ・ブースとの会話から学ぶこともあるし、彼と教え子たちとの会話から盗めることもあります。
今日のレースで一番驚いたのは、イギリスのベン・サクストン/ニコラ・グローブス組。2レース目の途中でラダーガジョンが破損し、ラダーが一枚しかない状況になってしまいました。それでもなんとかフィニッシュし、3レース目はなんとラダー1枚でレースに参加。その判断だけでも驚くのに、10位でフィニッシュしてるじゃないですか!スターボは上側のラダーしかないから、とにかくフラットで走り続けたそうです。信じられない・・・
レースを外から観るのは勉強になるけど、出られない歯がゆさが和らぐことはありません。結果的に風は上がらず、むしろ落ちていったので、出られたんじゃないかというのも追い討ちをかけます。でも、いまは耐えるしかないんです。
こういうときにパートナーが和歌子で本当に良かったと感じます。泣き言を言わないし、現実を受け止めて前に進む強さがあるから助かります。これぞまさに臥薪嘗胆のとき。いつか笑って話せる日が来ると信じて、2人で頑張っていきます。
明日は風が落ちる予報なのでレースできるはずです。