開放セヨ!

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明日で東日本大震災から1年。直接被災していない人間にとってはあっという間に感じますが、最愛の家族を失ったり、いまも仮設住宅や避難所暮らしをしていらっしゃる方々にとっては、さぞ長く苦しい1年だったことと思います。あらためて犠牲者の方々のご冥福をお祈りします。

僕はあの日、新潟にいました。新幹線が止まり、ホテルで缶詰めになっている間に見た地震や津波の映像は、まるでパニック映画のCGのようでした。2001年の9月11日と同じ感覚です。夢なら覚めて欲しいと願いながら、うたた寝と絶望の繰り返し。翌12日の深夜に自宅に戻って子供たちの寝顔を見た時には、一緒にいられなくて謝りたい思いと、無事でいてくれて嬉しい思いから涙が流れました。

3月15日には家族全員で疎開を決意し、東名高速を行くあてもなく西へ走りました。ヨットのことも仕事のこともどうでもいい。あの時は家族を守りたい一心でした。特に疎開先のテレビで見た、原発にヘリから大きなバケツで水をかける映像が忘れられません。無能な政府には頼れない、自分の家族は自分で守るしかない、と決意させるに充分な映像でした。

いまでもあの疎開の判断は正しかったと思っています。関東も生活物資やガソリンが不足し、計画停電で仕事もまともにできない状況でした。離れられる人間は離れることで、本当に必要な人に物資を届けることにつながります。被災地でも同様に、救援物資を運ぶばかりでなく、平行して被災者を減らす努力をするべきです。物資を運んだあとの戻り便を利用して、せめて家族の無事が確認できた被災者だけでも、早く安全な場所に運び出すべきだったのではないでしょうか。当時の橋下大阪府知事は、大阪市バスを被災地に派遣して、大阪の市営住宅などに被災者を疎開させました。それが契機となって全国の自治体が空室の市営住宅などに被災者の受け入れを始めたと記憶しています。素晴らしいアイディアと行動力でした。

それと敬服したのがJHです。東北道は宇都宮から一関までの広範なエリアで甚大な被害を受けたにもかかわらず、わずか13日後というありえない早さの3月24日に全面開通しました。あの時はデコボコでもいい、スピードなんか出せなくてもいいから、とにかく開通させることが優先でした。実際に開通したての時は笑っちゃうくらいボッコボコでしたが、それでも通れると通れないでは雲泥の差があります。間違いなくJHは素晴らしい仕事をしたと言えます。

逆にとにかくダメダメだったのが政府。なんであの時、東北道を無料開放しなかったのか。通行してるのはほとんどが被災者か、ボランティアか、自衛隊か警察ですよ。そもそも高速無料化を謳って政権をとったんじゃなかったのか。いまここで無料化しないで、いつどこでするんだよ!開通からだいぶ遅れて、今度は被災者のみの開放だといって、被災証明書を出せとか言ってる訳ですよ。おかげで被災者はETCも使えずに出口は大渋滞ですよ。もう、アホかと。誰を守ってるんだ、何を守ってるんだと問いたい。問い詰めたい。

空路もダメダメでした。仙台空港は津波で使用不能でしたが、花巻空港や荘内空港などは離発着できたんです。それなのに、法令に縛られ、通常の時間帯のみの離発着しかできなかったと聞きます。緊急時なんだから、24時間態勢で貨物機や自衛隊の輸送機などをバンバン飛ばすべきだったのではないでしょうか。近隣住民への配慮などしてる場合じゃないよ!こんなことは東北道の無料開放と同じで、単に責任ある人間の行動力が足りなかったか、もしくは物理的に不可能だったのなら、緊急時に対する備えが足りなかったという誹りを免れません。陸路も空路も、緊急時には国土交通大臣の発令で即座に開放できる体制、あって当たり前でしょ。ないの?

日本人としてこの国に暮らしていく以上、地震や津波の危険性とは常に隣り合わせです。あれほどの災害でも、1年が経ち、10年が経てば、日頃思い返すこともなくなり、この悲しみや憤りは風化してしまいます。もっと救える命がなかったか。もっと辛い思いをとりのぞけなかったか。振り返りと評価をしっかりしないと、必ず同じ過ちを犯します。

遠からぬ将来、また大規模な地震と津波が予想されているそうです。自然は克服できなくても、人間は学習できる動物です。あの震災から学び、避難体制、支援体制を改善していかなければ、亡くなった犠牲者の方々に顔向けができません。1年経った今からでも遅くないはず。我々はもっと怒るべきです。声をあげるべきです。

コメント

コメント(1) “開放セヨ!”

  1. 後藤ただ子

    あの日は、連絡が取れない、それだけで福岡にいる私がパニックでした。ニュースで見た地震発生時の、小学生の女の子がひとり座り込んで手を合わせて必死で耐えている姿が忘れられません。ヘリコプターで決死の覚悟で水をかけても雲散霧消の映像も。
    どうか子供達、孫達、次の世代が安心して暮らせる社会でありますように。そのためには何かしら行動を起こさないと。

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