青島セーリングワールドカップが終わりました。僕らの最終成績は5位。リオ五輪のアジア枠を逃したことで、オリンピックキャンペーンは道半ばで終了となってしまいました。残念な報告しかできないことを、応援いただいたすべての方々にまずお詫びさせてください。申し訳ございません。

大会は初日の第1レースこそ12ノットほどの風で行われましたが、それ以外の12レースはすべて微風に終始しました。僕らが事前練習していた数日は風に恵まれていたのに、このレース期間だけ見事に微風ウィーク。ご存知のように、最も苦手とする風域です。しかも皮肉なもので、今日からはいい風が戻ってきました。人生はときに残酷です。

僕らの持ち味は2人でトラピーズに出てからのスピードであり、そこは相当な自信を持って大会に臨みました。しかしながら、その武器を披露することはついに最後までありませんでした。今回のコンディションで20キロ以上も軽いチームと走ると、どんなにいいスタートを決めても、いいコースを取ってもヨットレースになりません。他艇が片ハルを飛ばして軽快に走るなか、バチャバチャと両ハルをつけて走っている僕らは単純に抵抗が倍。角度もスピードもまったく敵わないんです。

青島は微風が多いとは聞いていましたが、それでも吹く可能性は排除できないし、あまり減量し過ぎても体力が落ちてしまいます。僕らはアジアでは最重量チームですが、世界で見ると標準的で、むしろ他のアジアチームが極端に軽量です。ヨーロッパのレースは風が吹くことが多いので、これまで他のアジアチームの後塵を拝することはほとんどありませんでした。

結果的には、青島で勝つためにはもっと激しく減量した方が良かったのかも知れません。でもそれでは世界で勝てなくなるというジレンマがあり、10キロ程度の減量で大会に臨んだ経緯がありました。

和歌子とナクラに乗り始めて 1年3ヶ月。ナクラを生活の中心に据え、多くの時間とお金を費やして練習を重ねてきた、その成果が出せなかったことが残念でなりません。トラピーズタックも、トラピーズジャイブも、強風のメイントリムも、カニンガムトリムも無いレースでした。

またここ青島のもう一つの大きな敵は速い潮流でした。潮に不慣れな僕らにとってスタートやマークへのアプローチを悩ませる大きな要素となり、ペースを狂わされてしまったことも否めません。また、上マークまで0.3マイルほどという通常の半分以下の短いコース設定もまた、これまでに経験のない異質なものでした。

敗因は明らかに微軽風のスピード不足です。しかし例えば世界のトップレベルの選手たちであれば、たとえ僕らくらい体重のハンデがあっても、スキルとテクニックで今回のシンガポールよりも前に行くんだろうと思います。だからやはり言い訳にはなりません。下手だから負けた。

そして優勝したシンガポールは本当に速かった。ただの1レースも勝てませんでした。たとえスタートが悪くても、素晴らしいスピードと巧みなコース取りで、全13レース中10回もトップを取る完勝でした。見事な戦いぶりだったと賞賛すると同時に、彼らにはリオでアジアナクラの存在感を示して欲しいと思っています。

期間中は悔しくて眠れない夜もありました。和歌子と意見の違いをぶつけたこともありました。でも、どんなに苦しい状況にあっても、自分たちの力を信じ、お互いを信じ、感情的にならず、最後まで諦めずに戦い抜く。それだけはやり切ることができたと思っています。

最後のメダルレース。それがナクラでの最終レースになることはもう分かっていましたが、雑念を捨ててよく集中し、2位を取ることができました。今大会ベストの走りが最後にできたことがせめてもの救いです。

こんな終わり方をするなんて、なかなかまだ受け入れられないのが正直なところ。ただとにかく、みなさんにお伝えしたいのは、僕らはこの1年3ヶ月間、とても幸せだったということです。ナクラで誇れるような成績を残したことは一度もありませんが、新しいことを学べる日々は非常に刺激的でした。

これまでの活動を全面的にサポートしていただいたアビームコンサルティング株式会社には、感謝の気持ちと期待に応えられなかった申し訳ない気持ちで胸が溢れそうです。マストの立て方から手取り足取りすべてを教えてくれたコーチのマーク・バルキリー、松永鉄ちゃん、青島まで応援に来てくれた岡村さんと梶本君、福岡や葉山での練習でお世話になった多くの方々、多くの暖かい激励をくれた脇永さんや橘さん、大西さんを始めモスの仲間たち、ラッキーレディーのみんな、不在の間を埋めてくれた社員やバイトたち、そして最愛の家族。みなさん本当にありがとうございました。

たくさんの忘れられない楽しい思い出、そして人生で最も苦しい一週間をともに過ごした和歌子はこれからも一生の友人です。ヘタクソなヘルムスマンで大変な思いをたくさんさせました。それでも最後まで一緒に乗ってくれてありがとう。

僕らは負けたけど、他の日本チームは女子470が金銀を独占するなど全般的に好調な大会でした。来年3月にはアブダビで49erやFX、レーザー、ラジアルなどの枠取りがかかっています。1種目でも多くのクラスで枠を獲得し、来年の夏、リオの海で日の丸を揚げて欲しいと願っています。

そして5年後の東京に向けてナクラ17に挑戦したいという若い世代が現われてくれるのも僕らの念願です。この男女ミックスのマルチハルは、間違いなく魅力的で挑戦しがいのあるクラスです。僕らが学んできたことを次の世代に伝えたい。そのときに始めて僕らの活動が意味を成すんだと思っています。

15日間の青島滞在を終え、明日の飛行機で、家族の待つ葉山に帰ります。

予想外に長い一日でした。午後2時からのトライアルレースに備え、12時45分に出艇したのですが、午後2時を過ぎても運営ボートが出てきません。遅れてきたのに悪びれる様子もなく、当然のように午後2時半からコースの設営にかかります。しかしリミットボートのアンカーが流れたり、本部船のアンカーが流れたり・・・

結局スタートできたのは午後3時半。なかなかこれは忍耐力のいる大変なレースになりそうです。全然今日のレースはイケてなかったけど、トライアルでラッキーだったと考えて、明日からの本番に入っていこうと思います。

バルクヘッドマガジンも大会入りされたので、レースの報告は平井さんに任せて、レースに集中するため大会終了までブログはお休みさせてください。大会の公式サイトはこちらです。

いいことも悪いことも起こるでしょう。何が起きても腐らず、感情的にならず、平常心を保っていられますように。自分たちが積み上げてきたものを信じ、支えてくれた多くの方々を信じ、誰よりもパートナーであるお互いを信じて、最後まで笑顔でセーリングしようと思います。

ブログを始めた頃はまさかこんなキャンペーンサイト的な展開になるとは思いもしませんでしたw こんな拙いブログに毎日たくさんのアクセスをいただき、心から感謝しています。ありがとうございました。きっといい報告ができるはずです。

2015年9月15日

チームアビーム　後藤浩紀／田畑和歌子

ついに今日から青島セーリングワールドカップが開幕しました。レースは明後日16日から19日までの4日間が予選シリーズ。そして20日がメダルレースになります。初日の今日は軽風の中、短めの練習と大会の受付、そして事前計測に費やしました。これで心置きなく本番に臨むことができます。

4日間サポートをしてくれた松永鉄ちゃん、本当にありがとう。明日はトライアルレース。マークも合流してくれます。いよいよです。

天気予報通りの青空と心地よい西風です。8-12ノット。これくらいのコンディションでレースが消化されていくんだろうと予想しています。今日は初めて他国との合同練習に参加しました。

やはり初めて見る中国やタイは、まだ乗るだけで精一杯のようです。恐らくレースで僕らと競ることになるのはシンガポールではないでしょうか。ただしダブルトラピーズに出る風域から上は僕らにアドバンテージがあります。あらためて葉山合宿により、明らかにスピードが改善されたのを実感しました。

普通に走れば、まず心配はいらないはず。怖いのはケース、トラブル、リコールなどですね。今日は細かい艤装のトラブルがいくつか出てしまいました。せっかく走りで勝っていても、トラブルを出しているようでは長いシリーズを戦えません。不安要素を一つ一つ潰して、自信を持って第1レースを迎えられるようにしようと思います。

ところで和歌山国体ではザイクテントに今年も沢山のご来店をいただき、大変ありがとうございました。優勝した選手のみなさん、おめでとうございます！そして悔しい思いをされた方々も、みなさんお疲れさまでした。来年は僕も岩手でみなさんにお会いできるのを楽しみにしています。

ここ青島に来てから、意外に風に恵まれる日が続いていますが、今日はちょっと恵まれすぎな一日でした。他のナクラが誰もセールを揚げない中、意気揚々と出艇！ところが・・・

見た目は全然大した風じゃなかったのに、僕らが沖に出るのを待っていたかのように強烈なガストが入り、一気に地獄絵図に。これは無理だ。よし、帰るぞと即断。でも帰るにはベアが必要です。慎重にタイミングを待ってベア！よし、なんとかできたぞ。と安堵した直後にさらに強烈なガストがドカン！うぎゃ〜っ

なんとかバウ沈をしのぎ、乗員艇体無事に着岸することができました。風を測っていた他チームのコーチによると35ノットのガストだったそうです。その直前まで2ノットくらいだったのに。恐るべし青島w

わずか10分ほどですが、それでも海に出ないよりは気分良く他のことに切り替えられます。午後はNewセールに日の丸やナンバー、アビームロゴを貼ったり、予備艇を組み上げたり、バースを移動したり、レースまでにしなきゃいけない準備を一気に進めることができました。手伝っていただいた脇永さん、松永鉄ちゃん、ありがとうございました。明日はほど良い風の予報なのでたっぷり乗り込もうと思います。

夜にはタモリカップ横浜大会でラッキーレディーVIIIがクラス優勝、IRC優勝、そして総合優勝の3冠を達成したとの知らせが入りました。うっひゃーみんなおめでとう！その勢いにあやかって青島でも突っ走るよ。

日本から強力なサポーターが到着しました。スリーボンド所属の松永鉄也選手です。今日から4日間僕らの練習のサポートとアドバイスをお願いしました。

7月まで470の代表選考でチームアビームとライバル関係にあった彼になぜ？と思われるかも知れません。でもその戦いは終わってもうノーサイド。類い稀なる才能を持つセーラーなのは誰もが認めるところです。まして彼は北京オリンピックの日本代表で、ここ青島の海に誰よりも詳しい。無理を承知でお願いしたところ、快く引き受けてくれました。

ぐずついた天気で少し肌寒い一日でしたが、オンオフの激しい海面で短いながらも濃い練習が出来ました。明日は晴れて15ノットの北風が入る予報です。3人体制で総力を挙げてコンディションを上げていきます。

やっとこの日が来ました。青島での初練習。来る前から青島はずっと風が弱いと聞いてたし、練習していた他国の選手たちからもそう聞いていました。でも実際に出てみると今日は10-12ノットのなかなか手応えのある風で、うれしい誤算な感じ。波は無いけど、すごく強弱と変化の激しい印象です。

ナクラのエントリーは日本、香港 x 2、シンガポール、タイ、中国 x 5、そしてブルガリアの11艇。この中でブルガリアを除いてアジアで1位を獲得した国にリオの枠が与えられます。

タイと中国はまったく手合わせをしたことがありません。どんなレースになるのか想像が難しいですが、僕らがこれまでの活動で学んできたこと、特に先月の葉山合宿で会得したことを発揮できれば、少なくともこの中では誰にも負けないと思っています。

毎日できる準備を確実に一つ一つ進めて行くだけです。明日は日本から強力なサポーターが来てくれる予定です。

今朝ようやくヨーロッパ便、下関便の2本同時にコンテナを受けとることができました。中国に輸送しようと手配を始めてからここまで、とても長くて辛い道のりでした。それだけに2艇のナクラがこうして揃ったのを見てるだけで達成感があふれて泣いちゃいそうです。

2本のコンテナから2艇のナクラ、だけでなく2艇のVSR、そして2艇の470を降ろし、ボートパークまで移動するだけで午前中が終わりました。すっごい汗だくですw

夕方にはマストも立っておよその艤装も終わり、いよいよ明日は海に出られそう。楽しみ！

ふたたび決戦の地、青島へ帰ってきました。前回の滞在中には見られなかった素晴らしい青空が広がっています。お、いい風吹いてるじゃないですか。

すでに入国前から今日はコンテナを受取れないと知っていたので、皮肉にものんびりと過ごすことができました。明日確実に受け取れるように関係者に念を押し、その甲斐もあってかついに明朝、ヨーロッパ便も下関便も受け取ることができそうです。

いや、まだだ、まだ油断しちゃダメだな。この目でナクラを見るまでは何が起こっても不思議じゃありません。この海でセーリングできる日を待ち望みながらも、過度にストレスを貯めずに過ごそうと思います。焦らない焦らない。

19時発の飛行機で、ソウルに飛びました。インチョン空港近くのホテルに一泊し、明朝の飛行機で青島へ向かいます。

中国でのビザ無しの滞在は15日間までと決まっています。もともと10日発22日戻りの予定だったのでビザは申請していませんでした。戻りの日をそのままに滞在を前倒しすると8日入りが最速。その8日の朝に青島にコンテナが届く。そう聞いていたので、わざわざソウル泊の旅程を選んだのでした。

それなのに。ああそれなのに。ここまでしたにも関わらず、明日は2本とも受け取れないとの知らせが入ってきましたよ。人の努力も知らずに、まったくもー・・・

いまのところは9日となっていますが、信頼も保証もありません。先が見えないこの状況が一番キツイですね。キープスマイル。キープポジティブ。