ラフの恐怖

カテゴリー SAILING

オラクルチームUSAのAC50がトレーニング中にキャプサイズ。幸いクルーに怪我はなく、艇体のダメージも最小限で済んだそうです。

それほど吹いてる訳でもなく、誰かと競ってるわけでもないのに?それだけ練習から限界を攻めてるということかな。

飛ばないカタマラン、たとえばナクラ17で最も怖いのはベアする瞬間です。下側のハルだけ接水してベアすると、浮力が足りずにノーズダイブしがちです。その点フォイラーは飛んでる分だけノーズダイブしにくくなるのですが、逆に怖くなるのがラフです。ただでさえ風の2倍以上のスピードで走ってるのに、ラフした瞬間にアパレントの風速が一気に増すので、アパレントの風向は一瞬で横に回るのです。だからラフする時に最もメインを出さないといけません。

ラフする時には一気に回してアビームの角度を避けるようにするのですが、これだけのスピードで走りながら一気に回頭すると、遠心力も大敵になります。ラフする場合は遠心力がヒールモーメントになってしまうので、この動画のように一気にもっていかれるケースが多々あるのです。

沈したらそのレースを落とすだけでなく、その日のレースをすべて落とす可能性が高い。1日分の星を落としたら、これまでのキャンペーンすべてを無にしてしまうかも。盤石と見られているオラクルですらこけるんだから、本番では何があるか分かりませんね。あらためてACの怖さを思い知らされます。

ナクラ17で東京を目指すチームは、既にプロトタイプのフォイラーをここまで乗りこなしています。

フォイルホイスト!

フォイルジャイブ!

借り物のフネでここまで出来てしまうスキルの持ち主たちが、これから自艇を手に入れたらどうなっちゃうんでしょう?2020年には飛びっぱなしでコースを回れるようになっちゃうかも知れませんね。

今月後半には日本からも何チームか試乗に行くそうですよ?いいなぁ、楽しそう。

The Art of Foils

カテゴリー SAILING

ソフトバンクチームジャパンが公開した動画をご覧になりましたか?チーフデザイナーのニック・ハルロイドが勝敗の鍵を握るであろうフォイルの開発についてとても分かりやすく解説してくれています。

突然どうしちゃったんだ?というくらい凝った動画ですよね。アニメーションやCGを駆使して、金かかってるな〜と驚かずにはいられません。これまでのAC関連の動画の中でも最高の出来じゃないでしょうか?ダガーを外向きにカントさせてライティングモーメントを増すとか、上側のラダーを後ろに振るとか、前回のAC72から進化した部分もよく分かります。

たった2セットしか作れない本番用のフォイルをどんな形状にするのか。どの風域に最適化させるのか。デザイナーの底力が試されるところです。ソフトバンクにニックがいるのはとても頼もしい。さぁ楽しみだぞ!

トリプル告知

カテゴリー BUSINESS

告知です。先日発売になったKAZI誌5月号では、「マリン業界お仕事訪問」コーナーで6ページに渡って、我が社のボートショー出展に密着していただいています。ぜひご一読ください。出展までを前編とし、来月は後編としてショー本番が特集されますので、こちらもお楽しみに。

ちなみにボートショー期間中に参加者を募っていたシースケープ24の試乗会については、今月15日と16日を予定しています。場所は葉山新港です。まだ少しだけ参加枠に余裕がありますので、試乗ご希望の方はこちらからご連絡ください。

そしてもう一誌。3月25日から発売されています「湘南スタイル」の5月号の55ページで、愛すべき湘南の自然、「風」についてのインタビューに答えています。こちらも機会がありましたらどうぞご一読いただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

ダブルヘッダー

カテゴリー PRIVATE

ついに我が家の最終兵器、ハルマゲドンが小学校に入学しました。このブログを始めた頃はまだ歩いてなかったことを思うと隔世の感があります。

そして午後には長女リンコが中学校に入学。ダブルヘッダーの入学式を終えて、春のイベント祭りも一段落しました。卒業式、卒園式、ダブル入学式の合間を縫ってフランスに行くという荒唐無稽な計画を実現できたのも、家族と社員の理解と協力があればこそです。ありがたやありがたや・・・

Death mast?

カテゴリー SAILING

スペインでトレーニング中のマフレ(ボルボ65)がディスマスト。幸い乗員に怪我はなく、自力で帰港しました。このマストは既に前大会で地球を一周したマストだったのかな?

前回から完全なワンデザインに移行したボルボオーシャンレース。その決断はお世辞にも成功だったとは言えません。10月22日にスタートする2017−18大会のエントリーはまだ4艇というお寒い状況が続いています。このままだと赤字じゃないのかな?

ワンデザイン化により参戦コストが劇的に下がったはずなのに、かえってエントリーが減ってしまうというのは皮肉なものです。外洋レースをワンデザイン化すると、トラブルが出た際に責任の所在が曖昧になるのが問題だと思うんですよね。それにやはり開発競争も含めての魅力だと思うし。

次回からはマルチハルに移行するとも言われていますが、ウィットブレッド世界一周レースから続く伝統を引き継ぎ、どう発展させるのか。大会実行側の運営手腕が問われます。

ところでみなさん、マストが折れることを「デスマスト」と呼んでませんか?マストが死ぬようなイメージでそう言いたくなる気持ちもわかりますが、正しくは「ディスマスト」。Dismastという一つの動詞です。海外で「デスマスト」と言っても通じないので注意しましょう。

練習終了!

カテゴリー SAILING

カーン回航の最終レグ。一緒にサバイバル講習を終えた市村さんと志賀くんも加わり、5人で賑やかにシェルブールを出航しました。

微風予報だったにも関わらず、10ノット程度の風が続き、目的地のカーン沖までコードゼロで快適に到着。オーバーナイトのつもりだったので、そこからあえてジャンが10マイル沖に仮想の上マークを設定し、ナイト補習を行うことに。しかし・・・

日没と共に徐々に風が落ち始め、日付が変わる頃には完全なベタ凪になってしまいました。しかも50m先も見えない濃霧です。時折フッと吹き寄せる3ノット程度のブローでなんとか仮想マークに辿り着こうとあがきましたが、結局夜中にあえなくタイムアウト。エンジンでカーンに入り、泥のように眠りました。

強風も大変だけど、微風もまた大変ですね。でもこれもノルマンディーであり得ることです。35ノットから1ノットまでバラエティーに富んだ練習ができたことは幸運だったと思わなければいけません。

これにて事前練習は終了。次に貴帆に乗れるのはレーススタートの朝です。不安がないと言えば大嘘になりますが、限られた時間の中でできることはやりました。レースまでにもう一度学んだことを整理して書きだし、カラダの準備も整えて5月14日のスタートを迎えたいと思います。

さぁ、次はダブル入学式だ。愛する家族の元に帰ろう!

グロ注意

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シーサバイバル講習最終日は講師からお医者さんにバトンタッチして、海上でのケガの応急処置の仕方、心肺蘇生などについて実習。その後もフネに積む薬や緊急連絡の方法などについて事細かに。

実際にケガした人の患部の写真や、治療の動画などが僕にはグロ過ぎて、正直言って限界ギリギリでした。海の男はあれくらい何ともないと言いたいけど、いや〜ムリだわw

なんとか吐き気を抑えて、無事に講習を終了し、これでノルマンディーチャネルレースの出場資格を満たすことになります。明日の朝にはシェルブールからカーンに最後の回航に出航です。

日本でも小笠原レースが復活するなど、ロングレースが年々盛り上がっていますが、このようなサバイバル講習が日本では受講できないのが悲しい実情です。今回はJORAのサポートの元、こうして受講機会を得られましたが、いずれ国内でもこの国際資格が取得できるようになればと願っています。

生き残れ!

カテゴリー SAILING

シーサバイバル講習2日目の今日は、まず信号紅炎やフラッシュライト、スモークなど他の船舶や捜索機に見つけてもらうための実習からスタート。

その後サバイバルスーツを着てプールに入り、泳ぎ方や救助を待つ姿勢、ヘリから吊り上げられる練習、ひっくり返ってしまったライフラフトを元に戻す練習など。

一生こんな経験をしないで済むならそれに越したことありません。でも万が一そうなった時に、こうして一度経験しておくことで少しは落ち着いて対処できるはず。なにがあっても必ず生きて帰るという、シーマンシップの原点を再確認しています。いい講習だわ。

今日から3日間、ワールドセーリング主催のシーサバイバル講習を受けます。日本オーシャンレーサー協会、JORAのメンバーで、2019年のミニトランサット参戦を目指す市村くんと志賀くんもこのために渡仏しました。講師がフランス語しか話さないので、2人の通訳までつけていただいています。

初日は海上で起こり得る様々なリスク、たとえば船酔いや脱水、低体温症などについての座学。くわえてライフジャケットやサバイバルスーツ、ハーネスなどの安全装備について学びました。

感心するのが、講師が堂々とどこのブランドの製品がお勧めだとか、ここのはこの部分がだめだとか断言するんですよね。日本だとちょっと考えられない。ただやはり命を賭けた選択ですから、これくらいハッキリ言ってもらった方が生徒としては有り難いなと感じました。

ディンギー一筋だった僕にとっては知らなかったことばかりで、あらためて外洋に出るんだなと身が引き締まる思いがします。

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