バミューダ9日目。いよいよMSアムリンインターナショナルモスレガッタの最終日です。昨日に引き続き(出てませんがw)4レースが行われ、今回もイギリス勢が上位を独占しました。

僕の成績は今日も大して振るわず。ここまでダメとは想像してなかったけど、たとえ自艇を持ってきて全レースを戦ったとしてもトップ10に入れなかったと思います。それくらい周りが進化したからです。

ここ2年くらいイギリス勢はリグの研究を進めて確実な成果を出しています。正直言ってもう全然ついていけません。表彰式の前にディラン・フレッチャーにいろいろ教えてもらったんですが、いかに自分が適当に遊んでるだけかを思い知らされました。

葉山ワールドが終わってからここに来るまで、数えてみたら6回乗っただけ。練習も改造もせずに、世界に通用するほど甘くないってことです。このままだと来年のワールドに出てもお金と時間の無駄なだけでしょう。

やるべきことが見えただけでも大きな価値があったと考えるべきです。ちゃんと計画立てて、優先順位をつけて一つ一つクリアしていこう。実際数年前は世界でも有数の、手をかけたフネに乗ってたから戦えたんです。そこで満足して、ずっと停滞してる間に追い抜かれただけの話。抜かれたらもう一度抜き返す。その負けん気がなくなったら、もうただのオッサンだぞ。

バミューダ滞在は、スピードトライアルの入賞に始まり、屈辱のローライディング、バミューダ一周旅行、AC45S試乗、そして惨敗からの奮起と盛り沢山の内容になりました。どれもこれも、ここに来たからこそできた貴重な体験でした。バミューダ来て良かった!

img_7905最後の晩餐はお世話になりまくったアストウッド家で。出国前日に決まったホームステイにも関わらず、快く受け入れていただき、本当にありがとうございました。ずっと笑いっ放しの楽しい10日間でした。またそう遠くないうちに再会できることを祈っています。次はお土産もっとたくさん持ってきま〜す!

バミューダ8日目。普段から自分のことを幸せ者だと自覚していますが、それにしても今日は幸せ過ぎました。たまたま昨日ベースに遊びに行ったら、明日はソフトバンクチームのファミリーデーということで、早福さんの奥さんと一緒にチェイスボートに乗れるかも知れないと言われたのです。

朝スコット・バベッジから乗れると連絡があり、今日のレースには出ないことを即決しました。だってバミューダでモスに乗れるチャンスはまたあるかも知れないけど、ACのチェイスボートなんてもう一生乗れませんから。すぐにベースに向かい、チームに合流。ウイングを立てるところから、練習終わって片付けるまで一部始終を見せてもらいました。

沖は15-20ノットの最高のコンディション。通称「おとうさん」と呼ばれるAC45Sは、ググッと加速すると簡単にフォイリングし、あり得ないスピードでアップウインドを走っていきます。チェイスボートのスピードと向かい風で、体感の風は50ノットを越え、あっという間にモスワールドの帽子が飛んでいきました・・・

もう、なんていったら良いのかな。人間讃歌ですかね。不覚にも泣いてしまいました。涙が自然に流れてくる。セーリングはついにこんなところまで来たのかと。YouTubeではたくさん見てきたけど、生で見るとやっぱり全然違う。ホント感動しますよ。

この45Sは、先日乗せてもらった45Fとはまったく別物です。確かにこれがF1なら、あれはカローラだわ。次元が違う。あのときは気軽にオンボードからライブストリーミングましたが、この「おとうさん」は守秘義務があるので、写真やビデオは厳禁です。だからもう心のシャッターを切りまくりましたよ。特にオラクル、アルテミス、BARと4艇で並んで走ってる姿は感動しました。テストボートが4チーム並走したのは史上初だそうです。

どのチームも良くトレーニングされてるし、フネも速いんですが、なかでもソフトバンクは別格でした。フォイルタックはバンバン決まるし、直線も速い。安定感があるので安心して見てられる。少なくとも今日の4艇の中ではピカイチだったと言って差し支えないでしょう。こりゃホントに、ひょっとするとひょっとするぞ!?

みなさん、5月26日から始まる第35回アメリカズカップの予選シリーズにぜひ注目してください。特に先日の福岡ワールドシリーズで興味を持った方には、この異次元の走りを見て欲しい。福岡ではダウンウインドだけフォイリングしてましたが、バミューダではレース中ほぼすべてフォイリングするでしょう。スピードも上りは2倍、下りは1.5倍、マニューバも含めれば総合的にAC45Fの倍以上と思ってもらっていいです。難しいことは分からなくても、観ているだけで興奮する、革新的なヨットレースになること間違いありません。

img_7904練習の最後にはゲストとして「おとうさん」に乗せてくれました。45Fのようなゲストシートは無いので、ウイングの横でトランポリンに捕まってるだけ。むしろ臨場感はこっちの方が上です。望むところだ!

アップウインド!フォイルタック!ダウンウインド!フォイルジャイブ!んも〜〜夢のような時間。幸せ過ぎる。とりあえず僕の人生の最速記録は39ノットに伸びましたw しかも全然怖くない。39ノットなのに怖くないって凄くないですか?ポテンシャルはまだまだ上だと感じました。

全身ずぶ濡れになったけど、そんなことはどうでもいい。モスは4レースやったらしいけど、そんなこともどうでもいい。今日は間違いなく僕がベストコースでしょう。こうしてチームに受け入れてもらえたのは、たくさんの友人のおかげです。なかでも特に早福さん、クリス、そしてスコットには感謝してもしきれません。ありがとうございました。5月からの本戦、全力で応援します!頑張れソフトバンクチームジャパン!!!

バミューダ7日目。予報通りの大荒れで、朝の早い段階に本日はノーレースと発表されました。よーし今日はスクーターでバミューダ一周だ!

まずは大きく弧を描いた形のバミューダの西端にある、ソフトバンクチームジャパンのベースを訪問。早福総監督が暖かく迎え入れてくれ、直々にAC45Sや新艇のAC50を見せてくれました。驚愕です。生で見るウイングやコクピットはまるでSFの世界。どんなシステムや計器を採用しているかは重要機密なので、公開されている映像では絶対に出てこない部分です。

凄い。それしか言葉がありません。あんなものを設計開発して、そのまま形にできる人たちがいるんですね。モスなんか可愛いもんだわw

その後も早福さんとたっぷりいろんな話をさせてもらい、とても貴重な時間を過ごしました。今回のカップの内情、各チームの動向、そして次のカップの話まで・・・2010年バレンシアでの第33回アメリカズカップを、ゲストボートから一緒に観戦したのが昨日のようです。あれから6年半でこんな大きな夢を実現してしまう早福さんを心から尊敬します。

午後はグレートサウンドをグルッと一周して、対岸のスパニッシュポイント。そしてそこからノースショア沿いにひたすら北上し、バミューダ北端のフォート・セイントキャサリンまで。意外に大きな島なのと、ところどころ景色があまりに見事なので、3時間くらいかけて。

ようやく到着したその北端にはモス乗りがたくさん!みんな考えることは一緒だなぁ。楽しい一日でした。明日は今回の滞在でベストの風が吹く予報です。

ホワイトアウト

カテゴリー SAILING

バミューダ6日目。予報通りの強風で2時間待機のあと出艇しました。ところが・・・

ちょうどレース海面に向かう途中に前線が通過し、激しいスコールと突風でホワイトアウトしてしまいます。30ノットくらい吹いてました。その後は急激に風が落ち、飛んだり落ちたりの風で2レースを消化。こうなるともう飛べない蛾は戦えません・・・

厳しい現実です。やっぱりモスのチャーターはこうなるなと。コンディションにも恵まれてなくて、レースのクオリティは低いと言わざるを得ません。あんな前線が来るなら、待機せずにレースしてた方がマシだったはず。いまのところ4レースとも飛べない時間帯が長くてストレス貯まってます・・・

あらためて、葉山モスワールドはいい大会だったんだなぁ。皮肉にもそれが良く分かります。13レースやって、こんなの1レースもなかったもん。みんな喜んでくれるはずだわ。

ま、しゃーない。バミューダにいられるだけで幸せなんだから。明日は35ノットの予報なので、恐らくレースは厳しいでしょう。ACのベースに遊びに行こうかな。

バミューダ5日目。8-10ノットの軽風下で第1レースがスタートしました。スタート前のジャイブで沈をしてしまい、そこからなかなか飛び出せずに四苦八苦しましたが、そこから挽回して10番台半ばで回航。ダウンウインドの途中までは悪くなかったのです。でもここからが今日は壊滅的にダメでした。

風が8ノットを切ってくると落ちてしまい、そこから何をやっても飛べません。自艇なら飛べる風域なので、諦め切れずに何度もトライしますが飛ばず。結局ローライディングのまま1周抜かれてフィニッシュ。さらに風が落ちた2レース目はもっと悲惨でした。

うーん、いろんな可能性を模索したんですけど飛ばなかったなぁ。そもそも今日はビッグフォイルの風だけど、持ってきてないんですよね。WindGuru見て吹くと思ってたから。

あとは何だろう?センターケースの穴3つすべて試しても飛びませんでした。アカも入ってないし、ワンドもブラブラしてない。バミューダに来てずっと吹いてたので、軽風にこんな弱点があるとは気づけませんでした。本来この飛べるか飛べないかは一番の得意風域なのに。飛べない蛾はただの蛾だぜ・・・

ま、落ち込んでもしゃーない。チャーター艇にはこういう罠があると覚悟してたし、明日からはずっと強風なので、もう飛べない悩みとはおさらばでしょう!Tomorrow is another day! ド強風でっせ〜

Who’s Speed King?

カテゴリー SAILING

バミューダ4日目。いよいよレース初日ですが、30ノットオーバーのド強風により残念ながらレースはキャンセルになりました。北西の風だとグレートサウンドと呼ばれるレースエリアに波も入ってきてしまうそうです。

ハミルトンハーバー内ならまだ乗れるコンディション。そこで昨日に引き続き、余興としてスピードトライアルが開かれることになりました。

固定された2点間(約800m)を最短で走り抜けたヤツの勝ち。ルールは単純だけど、いつスタートするか、距離を優先するのかスピードを優先するのかコース取りも戦略性があって、なかなか奥が深い。一番に出艇してチャレンジし続けた甲斐もあり、総合5位を獲得しました!

ようやく時差にもフネの違いにも慣れてきたし、モスの感覚が蘇ってきたかな。明日は軽風で4レースが予定されています。

BTC Cup in Bermuda!

カテゴリー SAILING

バミューダ3日目。20-25ノット、時に30ノットのガストが吹きつける中、ダッシュフォーキャッシュが行われました。僕は第1グループでネイサン、アナリスに次いで3位でフィニッシュ。余裕を持って勝ち抜いたはずでした。ところが・・・

全4グループあると聞いていたので、一度着岸して栄養補給していたら、なんと僕のグループがスタートしてるじゃないですか。あとで聞くと、思いのほか風が強くてエントリーが減り、2グループに変更になったんだって。知らねーよw

ま、余興だし別にいいや。周りが25ノットでビビりまくってる中、冷静にレースできたのは自信になりました。道具壊さなかっただけ良しとしましょう。

優勝はネイサンのクルー、イアン・ジェンセン。終始安定したハンドリングで他を寄せつけない見事な勝利でした。あっぱれです。

さてさて、いよいよ明日から本番ですが、今日くらい吹くらしいですよ。大丈夫かな。たった5分のレースでも心拍数が上がり過ぎて鼻血が吹き出そうだったのに。

バイクゲット♬

カテゴリー SAILING

バミューダ2日目。予報通りの強風の中、クラブの目の前の小さな湾内で動作練習を中心に2時間ほど出ました。昨日の整備が功を奏してまったく別の乗り心地です。これなら少しは戦えるかも。

今日から1週間レンタルバイクを借りたので、早速ソフトバンクチームジャパンのベースキャンプまで遊びに行ってみました。クルーたちは休養日だったのですが、そんな日もトレーニングをしていた笠谷くんとしばし歓談。すごいカラダですね。あれがACクルーか〜と唸らずにはいられません。味ぽんや棒ラーメンなどチープな差し入れを渡したら、すごく喜んでくれました。

新艇も見ちゃった!さすがに写真は撮らせてくれないけど、もうかなりできあがってましたよ。いや〜やっぱ45より断然カッチョイイ!!!

img_7872今回ホームステイしているコナー・アストウッドくんとお揃いの大会シャツで記念撮影。彼はソフトバンクチームジャパンのショアクルーとして働く傍ら、チームBDAの一員としてユースアメリカズカップにも参戦予定です。まだOP少年の頃に何度か会っていたのですが、こんなに逞しい立派な青年に成長しました。あんまり横に並びたくない・・・アストウッド家には大変お世話になっています。

さ、レースのレジストレーションも終わり、明日はダッシュフォーキャッシュが予定されています。どこまで残れるかな?

バミューダ到着

カテゴリー SAILING

昨夜9時過ぎに目的地バミューダに到着しました。OPコーチ時代に親交のあったAstwood家のお宅にホームステイします。

今日は早速クラブへ行き、チャーター艇を受け取り。こんなに突然やって来たくせに、オラクルチームUSAのアンドリュー・キャンベルのMach2を借りることができました。これもクリス・ドレイパーのおかげです。

艤装を終えて海に出ると、オラクルやアルテミスのテストボートがバンバン走っています!すっげー速い!!!!生で見ると迫力が半端じゃありません。

初日はいろいろとフネの違いから戸惑うことがあったので、早めに上がって整備に費やしました。明日からド強風が続く予報なんだけど、大丈夫かな・・・

AC福岡ワールドシリーズの最終日、ソフトバンクチームジャパンの打ち上げに合流した僕は旧友のクリス・ドレイパーにこう言われました。

「バミューダに来いよ。チャーター艇も泊まるところも用意するからさ。」

毎年12月に開催されているモスのレガッタに行ってみたいとずっと思っていました。ACの連中がたくさん出てくるので、かなりレベルの高いフリートだそうです。葉山モスワールドの直後にも大会側から招待をいただいていたのですが、なにぶんフネの輸送がネックで諦めていました。

それがセールとフォイルさえ持ってくれば参戦できる。素敵じゃないか。エアチケットは幾らだ?意外に安いぞ。ん?明日になると値段が5倍になる?わお、とりあえずポチッちゃえ。

というわけで、急遽バミューダ行きが決定したのです。12月10日までMSアムリンインターナショナルモスレガッタに参戦します。

このバミューダ行きは、あの夜クリスに会わなかったらあり得ませんでした。偶然が重なって、しかも誘ってくれるのがクリス。この流れでバミューダに行くのはきっといいことに繋がる気がするんです。

img_7864チケットを取ったのが1週間前。そしていまニューヨーク、マンハッタンのカフェでこれを書いています。いやはや。行き当たりばったりが我が真骨頂。とはいえ、これほど身勝手な決断を許して快く送り出してくれた家族には心から感謝しています。ありがとう。

夜の飛行機でバミューダに上陸します。ACの最新情報も気になるところ。ご期待ください。

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